【movies】ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ロン・パールマン、セルマ・ブレア、他

前作から少々の年月を経て作られた続編。

1955年、米軍基地で幼少時代を送っていたヘルボーイは
ブルーム教授からある物語を聞かされる。
それは遠い昔、強欲な人間とエルフとの戦いに嘆き悲しんだ
エルフの王が、“ゴールデン・アーミー”と呼ばれる
鋼鉄兵団を造り出し、戦いを終わらせたというものだった…。


「パンズ・ラビリンス」を撮って以来、
「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚である「ホビット」の
監督も決まっているギレルモ・デル・トロ監督作品。

振り返ってみると前作も結構独創的なキャラクター造形であったが、
本作はそれに輪をかけてやりたい放題といった感じ。w
まさにギレルモ印のファンタジー映画っぽくなっている。

全体としてはかなり作りこまれたビジュアルと、テンポ良い
ストーリーのおかげで結構楽しめる内容。
前作はかなりダークでとっつきにくい感もあったが
本作はより幅広い観客に楽しんでもらえそうだ。

さて、物語の中心はかつての人間への恨みからゴールデン・アーミーの
復活をたくらむエルフ族のヌアダ王子が鍵を握る。
うっかり“クラウザーさん”のように見えなくもないが、
彼の背負う想いも含めてなかなか良い悪役に仕上がっている。

一方のヘルボーイに関しても、恋人とのチワ喧嘩や
新しい上司との確執などなど話題が絶えず、
アクションシーンならずとも楽しめること請け合いである。

サクっと観れる割にポイントを押さえた大人向けの物語。
約2時間でこの密度はお見事。
次回作がもしあるなら、期待して待ちたい。


☆×4(5点満点中)

多少のグロには注意してね。

【movies】第9地区

監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、他

21世紀に贈る、大人のための「ET」。

district9

南アフリカのヨハネスブルグにある日、巨大な宇宙船が現れた。
世紀の事件と騒がれるも、待てど暮らせど誰も降りてはこない。
ついに突入部隊が外壁を破って中に入ると、そこには衰弱しきった
無数のエイリアンたちがいたのであった…。


そんなわけで、ある日突然エイリアンたちが難民となって
地球に住みはじめてから20年後を描くという、設定だけで
一晩飲めそうな作品。 w

かつてSF映画においては宇宙人たちは友好か、敵かの
どちらかであった。
加えて宇宙人とのファーストコンタクトといえばどんな映画でも
神秘的でワクワクするような演出がつきものだが、
本作はそういったありがちな観客の期待感など一切寄せ付けない。
まさに全てが新しい。

いや、一つ一つの事柄はこれまでにも見慣れたものであるかも
しれないが、それが“第9地区”というスラムで見事に融合すると
トンデモないことになったのがこの映画だろうか。
そういう意味においてまずはこの、“難民”という設定が秀逸である。

かくして地球人たちは、不衛生な宇宙船から彼らをいったん地上へ
降ろし、そこに仮住まいさせることにしたのだが、
ここで新たな問題が出る。
すなわち地域住民との衝突。

人類はこれまでも肌の色の違いとか文化・宗教の違いということで
たくさんの殺し合いをしてきたわけだが、
気持ち悪くて汚くて粗暴なエイリアンがやってきた時に
どのような反応があるかといえば、それは火を見るより明らかな
ことだろう。

当の主人公・ヴィカスにとってもそれは同じで、彼らを“エビ”と
呼んで蔑んでいるし、不衛生で気持ち悪い卵を発見したら
冗談を言いながら焼き払うようなごく普通の人間だ。
(あのビジュアルを見たら誰でも同じ反応を示すに違いない)
だが中盤以降はそんな彼がウィルスに感染したことによって一転、
差別される側の人間となり、以降は怒涛のアクション映画となる。


いやはや、いろいろ考えてみてもこの映画は面白い。
とにかく、語りたいことが山ほどある。
単純に弱々しい男が極限状況で“漢”になる姿を描いた
アクションとしても十分面白いし、
“人間とエイリアンとの共生”というテーマを初めて
深くリアルに描ききった作品であり、翻ってそもそも人間の
あり方までを問いかける社会派ドキュメンタリー(フェイク)でもある。
少なくとも一回観ただけで全てを捉えきるのは難しいだろう。

監督のニール・ブロムカンプは南アフリカ出身で
CMやVFXアーティストとして活躍している人物。
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンが
彼に惚れ込んで抜擢されたそうだ。
ちなみに本来は実写版「HALO」を撮る予定だったとか。

本作のVFXに関しては「ロード〜」以降名を馳せた
ニュージーランドのWETAディジタルが手がけており、
なるほどリアルなエイリアンの造形であるとか、終盤に出てくる
パワードスーツのガションガションしたアクションなんかも
見事すぎる出来栄え。
(予断だが予告でも見れるミサイルのショットは
 板野サーカスがモデルらしい。見所多すぎw)

個人的には音楽・音響効果の面でも独特な感じがして
面白いところだ。
エイリアンの武器の効果音とか、一度撃ってみたくなる。w


さてそんなわけでまとめに入ると
南アフリカでは過去、人種隔離政策をやっていたとか、
世界最大の飢餓・内戦地帯であるといった風土が
作品の土台にあるであろうことは想像できるところだが、
そんなイメージもすべて吹き飛んでしまうほど
この映画はパワフルなエンターテインメントに仕上がっている。
(そこがまたすごい)

しかもその終わり方に至るまで、正直これほど良く出来た
シナリオはあまり見たことない。
この作品がアカデミー賞を取れなかったのは、多分SFだからだ、
としか考えられないなぁ。

とりあえずもう一回くらい観たい。


☆×5(5点満点中)

ちなみにそこそこエグいシーンもありますので。
特に虫とかダメな人は大画面はキツイかも。。

【movies】ブラインドネス

監督:フェルナンド・メイレレス
出演:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、伊勢谷友介、他

カンヌで話題になって以来、全然日本公開が遅かったので
忘れてしまった人も多いのでは?と思ってしまう作品。

ある日、交差点で一台の車が立ち往生する。
運転していた日本人男性は突然目が見えなくなった、と
訴え、人の助けを借りながらなんとか自宅に戻るのだが、
その後の眼科医の診察でも原因がわからず…。


「シティ・オブ・ゴッド」や「ナイロビの蜂」といった
クオリティの高い作品を手がけるフェルナンド・メイレレス監督の
独特の感性によってまとめられたパニック。

ある日突然失明してしまうという不条理さと、それで終わらない
現実の過酷さ。
謎の病はやがて全世界へと拡大し、物語は失明者たちの収容所へと
移っていく。
しかしそこで幕を開けるのは例によって人間たちの醜さである。

この作品の一つのキーポイントは主人公を演じる
ジュリアン・ムーアだけが“目が見える”というところにある。
その目に映るのは途方もなくむごたらしい世界で、
圧倒的な孤独感・恐怖感といったらこの上ない。

観客はまさに、彼女の目を通してこの作品の現実を見ていくわけだが、
それはひょっとしたら、観ないほうがよかった、と思わされるもの
であるかもしれない。
そういう意味で、この作品はかなり観手を選ぶ作品だろう。

だが、全世界が失明するという秀逸な設定の中で展開される
人間ドラマにはなかなか考えさせられる要素も多分に含まれている。

人間は生きていくうえで必要な情報のほとんどを目から得ている
と言われるように、目が見えなくなった、というだけで
いとも簡単に社会が崩壊してしまう様は恐ろしいものだ。
と同時に、人間の持つ醜さがいつにも増して浮き彫りにされてしまう。

こんな状況を見ると、なぜ皆、多くの人は五体満足で
生きているにも関わらずロクな生き方をしていないのか。という
疑問まで沸いてくる。

私たちは目が見えていながら、掴むべき幸せを見逃し、
汚いものは見ないようにして生きている。
しかしながらこの映画を機会に、ちょっとぐらい目を逸らさずに
生きていけるようになりたいものだ、などと思わせるのは、
この作品の終わり方に希望の光が見えるからかもしれない。


☆×4(5点満点中)

一人でじっくり観る映画ですね。

【movies】インクレディブル・ハルク

監督:ルイ・レテリエ
出演:エドワード・ノートン、リヴ・タイラー、他

アン・リー監督の「ハルク」はなかったことにして、
新たに作られたアメコミムービー。

研究者のブルースは実験で多量の放射線を浴びてしまい、
興奮すると怪物のような姿に変化してしまう体となってしまった。
都市を離れ、南米に身を隠しながら治療法を探し続けていた
ブルースだが、ある日同じ工場で働く女性について
因縁をつけられ…。


アン・リー監督のときは結構、父親との確執とか微妙な心の
問題に切り込んだ作風だったが、本作ではそんな
わずらわしい話は一切なし!

どちらかというとシンプルなアクション映画になったハルク。
ルイ・レテリエ監督は「トランスポーター」シリーズなども
手がけていることから、いわゆるエンターテインメントは
よく心得ている感はある。
アクションシーンはもなかなか派手だし、緊迫感もある。

ただ、総じて内容的には薄い感じは否めない気がする。
特に、ハルクに変身してしまうと台詞もしゃべれない状態になって
しまうので全然ドラマ感がなくなってしまうのが
演出上難しいところだなと思ってしまった。

加えて出演者もエドワード・ノートンやリヴ・タイラーに加え、
悪役にはティム・ロスといったメンツが揃っているのに
アクションとCG主体の構成ではちょっと残念だ。

アメコミ好きな人がサクっと観る分にはいいかもしれないが、
にわかファン程度ではイマイチかもなぁ。


☆×2(5点満点中)

ちなみにラストには“あの人”が登場します。w

【movies】ハート・ロッカー

監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、他

めでたく!アカデミー賞6冠を獲得した作品。

舞台はイラク・バグダッド。
路上に仕掛けられた爆弾を解体するため、ブラボー中隊は
遠隔操縦ロボットで調査を行っていた。
しかし、爆破処理しようとロボットで爆薬を運んでいたのだが
運悪く“貨車”が壊れてしまう。
手動で爆薬を設置するため、トンプソン軍曹が耐爆スーツを
着込んで近づくのだが…。


考えてみれば女性監督史上初となるオスカー受賞。
これまで女性監督といえば「ディープ・インパクト」の
ミミ・レダーだとか「ロスト・イン・トランスレーション」の
ソフィア・コッポラとか、どちらかというと優しい観点の
作品を撮るイメージが個人的に強かったように思うが、
キャスリン監督は、とんでもなくハードコア!w

冒頭から、ハンディカメラでグイグイと観客の緊張感をあおる。
物語の軸になるのが爆弾処理班ということもあって
本作には多数の爆弾処理シーンがあるのだが、
どれもドキドキすることの上ない。
アカデミー賞作品としては珍しい、アクション映画?という
考えがよぎったりもするが、そこはやはり、オスカーを獲った
だけあって一筋縄ではいかない。

多分、「スラムドッグ・ミリオネア」的に面白い作品だと
思って観ると、本作では失敗するかもしれない。


さて、冒頭で作品のテーマが示される。
すなわち“戦争は麻薬である”というわけだ。
次にタイトルの「ハート・ロッカー(The Hurt Locker)」の意図を
考えてみることにしよう。
カタカナ英語というのはハートが“Heart”みたいに思えるから
やっかいだが、さしずめ“痛みを閉じ込めるもの”という
ニュアンスだろうか。
(俗語では激しい痛みの場所、あるいは棺おけという意味らしい)

すなわち戦争という極限世界によって人間のある種の感覚が
“ロック”され、ドラッグに依存するように戦争にはまり込んで
しまう人間を描いた、という点において、この映画は
従来の戦争映画にはなかった新しい観点を提供するのである。
(かなり個人的な解釈ですが、やはりそこが、一番評価される
 ポイントなんじゃないだろうか)

物語は爆発物処理班に新しく配属されるジェームズ軍曹を
中心に展開される。
中盤くらいまでは、ある種よくあるアクション映画だ。
ルールを無視して自分勝手に爆弾を解体しまくるジェームズ軍曹と
仲間の確執から、ある出来事を起点に信頼感が高まっていく
様が描かれる。
そして中盤あたりから泥沼的戦争の現実が暗い影を落としていく。

この映画にはアクション映画によくある悪役は一切登場しない。
よって最後に悪役をやっつけて爽快感を得るようなことはできない。
淡々と、ブラボー中隊の任務明けまであと○日、という
時計がカウントダウンされるだけだ。

唐突に爆弾処理の任務が下り、誰が置いたかもわからない
爆弾を解体するために命を張る。
もちろん一瞬油断するだけで木っ端微塵のシチュエーションだ。
そんなことが次から次へと起こる。
死のふちを乗り越えて解体成功、もしくはひとまず生きながらえた
という安堵感を繰り返すうち、物語は終わりを迎える。
だがそこで待っているのは、例によって“依存症”というわけだ。

ちなみにこの作品全体を通して観ると、観客自身もその依存症を
疑似体験できるという「アバター」も真っ青?な
体感型ムービーでもある。
もう一個くらい解体してくれないかな、と思ってしまったあなたは
残念ながら術中にはまっていると言えるだろう。
全編に渡ってシャープな演出が貫かれており、驚きの構成だ。
うーん、よく出来ている。

加えてアメリカ合衆国自体の戦争依存症に対して
皮肉、と読み取れる場面などもあり、単純に個人レベルの視点で
終わる内容でもないのが、また一癖ある作品と思わせる。


と、ここまで考えて思うのは、
やっぱ一般ウケしにくそうだなということです(苦笑)
終わった後に悶々と悩むことになると思うので、
本作は一人で観てください(笑)
どうしても複数人で行く場合は、終わった後でカフェか
飲み会がベターです。


☆×4(5点満点中)

結構ショッキングなシーンも多いので、それなりの
心積もりも忘れずに…。

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Appendix

しまんちゅ

しまんちゅ

へこみやすい魚座、最近自分は天然かもしれないと思い始めたAB型。
寝ても覚めても映画に埋もれる日々が好きであります。
映画検定はまだまだ3級です。これからも頑張って勉強しようと思います。
その他、たまにロック、小説にふけり、思い立って旅行に行ったり写真など撮ってみたり。

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