【movies】善き人のためのソナタ

監督:フロリアン・ヘンケル、フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ、他

冷戦時代の東ドイツ。
社会主義のこの国では思想犯の摘発のため、日常的に
監視活動が行われていた。
ケルド・ヴィースラー大尉は優れた監視員であった。
ある日、有名な舞台作家であるゲオルク・ドライマンを監視することに
なり、彼の家の隅々に監視装置を取り付ける。
24時間態勢で監視にあたるヴィースラーだが、ドライマンの生活を
知るにつれて次第に引き込まれていき…。

話の筋だけ聞くとありがちな展開に思える。
結末も、まあだいたいそんな感じだろう、と言えばそうかもしれない。
しかしそうかといってこの映画は観るに値しないかといえば
否である。

物語はごく、淡々とした雰囲気から幕を開けていく。
監視社会の持つ一種独特な、会話の裏に隠れた真意を推測しながら
中盤以降はどっぷりとその人間ドラマの中に浸れる構成となっている。

人間の会話にはたいてい、表面的な意味とその裏に隠された本当の
気持ちがある。
普通の映画であれば観客はそれらを考えながら物語を追っていく
ことになるのだが、この作品では監視員という特殊な人物を通して
いとも簡単に、まるで手に取るように人間ドラマの表裏を
行き来することができる。
はっとするようなオチや仕掛けはないのだが、逆にこのことが
普通に生活する私たち自身の人生との重ね合わせも容易にしてくれ、
人間関係の奥深さを改めて認識させてくれる。
ムダのない脚本と演出の成果か。

冷戦下という時代背景が生み出す不条理さについても確かに批判的な
姿勢ではあるにしろ、やはりこの作品では人間の「善さ」の方が
クローズアップされているところが良い。
抑圧によって時に優れた芸術作品が生まれるように、
ラストに向かって濃縮される「善さ」が素直に胸を打つだろう。

アカデミー賞・外国語映画賞受賞も頷ける秀作だ。


☆×5(5点満点中)

日本ではこういう話ってなかなかないですね。

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しまんちゅ

しまんちゅ

へこみやすい魚座、最近自分は天然かもしれないと思い始めたAB型。
寝ても覚めても映画に埋もれる日々が好きであります。
映画検定はまだまだ3級です。これからも頑張って勉強しようと思います。
その他、たまにロック、小説にふけり、思い立って旅行に行ったり写真など撮ってみたり。

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