【books】アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

前作から、まさかの10年目にして最新刊登場です。
といっても発売されたのは去年の夏ですが。

雪風

地球に暮らすジャーナリスト、リン・ジャクスンの元に
ある日一通の手紙が届く。
それは遠く離れた惑星・フェアリィでジャムと呼ばれる異星体と
戦う組織・FAFのアンセル・ロンバート大佐からのものだった。
曰く、彼はジャムと結託してFAFを支配し、地球に宣戦布告すると
言うのだが…。


まず本作は、「戦闘妖精・雪風<改>」、「グッドラック 戦闘妖精雪風」
から続く続編であるため、前二作を読んでいないとまったく話は通じない
ことになる。

シリーズ全体としてはある日、地球に侵攻してきた謎の異星体・ジャムと
人類の戦いが描かれている。
その中でも特に、戦闘情報を第三者的観点から収集し、味方を
犠牲にしてもそれを持ち帰る、という任務に従事する“特殊戦”と
呼ばれる組織に所属するパイロットと、彼の乗る愛機・雪風が物語の
中心である。

よくある異星人侵略モノか、という見方をされる方もいるかも
しれないが、
本作はかなりハードコアに寄った物語である。
すなわち、敵として登場するジャムは人類からすると
“まったく未知すぎる”存在であり、会話するどころか実体すら
つかめない存在であるところがポイントである。
そんなわけでジャムとの戦いを記録する主人公たちの活躍が重要な
戦略の要となっている。

さて、前作ではジャムとは何か?というシリーズを通しての謎に
一歩切り込んだところで、いよいよ大規模な総力戦となる
あたりが描かれた。
個人的にはいろいろな面において面白い、といえる濃い内容だった
ように思う。
これで終わっても何の問題もなかったようにさえ。。。

そんなわけでの第三作目。
前作の後、今になって続編が出るとは予想していなかったので
どんな話かと思ったのだが、これがまた面食らう内容である。

一応、全編通してジャムとの戦いのシーンである。
しかしながら本作では、ほとんど見せ場となるような
空中戦のシーンはない。
じゃあ何が戦いかというと、精神的な…というか自己の存在との、
というか、要するにジャムが考えていることは何なのか、といった
感じの戦いである。
単純に言うと、すごく難しい(笑)戦いとなるだろうか。

思うに作者の神林氏の感性というか、独特なものの見方は
すごいものがある。
よくSF映画などで“超人工知能”のようなものが登場する場合、
ある種擬人化されたような存在で、得体の知れないもの、という
描かれ方が多いように感じられるが神林氏の場合はそうではない。

特に本作においては、“高度に電子化された機械兵器たちがどのように
世界を認知しているか”という観点が描かれており、
読者としては展開される神林的哲学の世界にただただ
ついていくばかりである。

私たちが見て感じている世界というものはすなわち、人間の感覚器官に
捉えられるものと言い換えられるのだが、見方を変えればコンピュータや
異星体たちのように人間とまったく異なる感覚を持った存在たちは、
人間には見えない世界が見えていたり、同じものでもまったく違う
捉え方をするはずである。

で、今回の戦いというのはそのような“超”人間的感覚によって
世界を捉え、なおかつその中で勝つための戦略を練り、そして戦うという
もので、二回読んでも腹に落とすのはなかなか困難である。w

しかし、そこを乗り越えると人間として、というか地球人として
自分が一歩成長できたような感覚を得られる(?)あたり、
侮れない作品ではある。

ここまでやったら、そろそろクライマックスが描かれるのだろうか。
次回はもう少しエンターテインメントに走ってほしい、
というのはあくまで個人的な希望であるが。w

【books】深海のYrr by フランク・ツェッツィング

年末年始に帰省した際に読破しました。
おかげで他はほとんどなにもしませんでしたが…。

最初にタイトルを読んだときから中盤くらいまで
読み進めるまで、実は「ウナギ」の話かと思ってましたが
よくよく考えたらウナギは「eel」でしたね。w
まぁそんなカミングアウトは不要ですか、そうですか。

深海のYrr

ノルウェー工科大学に勤めるシグル・ヨハンソンの元にある日、
友人のティナがあるものを携えてやってきた。
それは深海で採取されたという生物だが、ヨハンソンに
鑑定をお願いしたいという。
しぶしぶ引き受けるヨハンソン。しかし調べてみると
新種のゴカイであることが判明し…。


一読した感想としては、

面白い。だが、長い。


ということにつきるだろう。
上中下巻それぞれが500ページを超えるというのは
ぶっちゃけ長すぎる感が否めない。
(実際、ウチの母上は卓上に積まれた本を指して“辞書”と称した)

しかしながら内容はというと、タイトルにも掲げられている通りの
海洋アドベンチャーでありまさに大作、といった感じである。
特にハリウッド映画のようなスケールの大きさを感じさせられる。
(余談ではあるが、本作は本当にハリウッド映画化が決まっている)

ノルウェー沖の海底油田から物語は始まり、やがて世界中の海で
不可解な現象が多発、津波や伝染病の蔓延などで人類に危機が
訪れるというのが大筋となっており、主人公である科学者たちが
その原因を突き止めていくのだが、物語の核心については
近年のSF史上に残るかもしれない、衝撃的なものが隠れているのである。

正直、ないといえばないかもしれないが、こういう形で語られると
実際にあってもおかしくない気がする。
特に“深海は宇宙より解明が進んでいない”などと言われることも考えると
そこはかとない恐怖感さえ沸いてくるものがあるので、
海洋モノに興味のある方は是非読んでみてほしいところだろうか。

作品を書くにあたってリサーチに数年を費やしたそうだが、
北海の油田開発からメタンハイドレード等多様な分野に渡っての
作者の見識が伺える。
そういったリアリティが作品後半の展開を下支えしているのは
間違いないだろう。

しかしながら物語の若干脇にそれるような事柄については
意外にもステレオタイプ的な書き方があったり(日本の捕鯨問題等)、
登場人物たちの語る映画の話題が大抵ハリウッドの
アクション映画だったり、妙に浅いところが見えてしまうのは
少し残念なところだろうか。

あとはやはり、ところどころで本筋から外れるエピソードが
いくつも挿入されるので、なかなかストーリーが進まずにイライラする
ところもあるかもしれない。
思うに、ちょっと登場人物が多いのである。w
巻頭の人物表を何度も見返して思い出しながら読まねばならないのも、
読者によってはストレスと感じるだろう。


というわけで、私個人的な評価からすると
物語の緻密さでいけば藤崎慎吾氏の「ハイドゥナン」には
一歩譲るものの、エンターテインメント要素は強く、
読んでみて損はしない内容だなというところだ。

【books】いよいよ鷹の都(ファルコニア)が・・・?

いやはや、ついに!発売となりました、ベルセルク第34巻。

ベルセルク34巻

表紙がゾッドとフェムトですか。
これまた渋くてダークで期待が持てます。
会社帰りに買おうと思ったのですが、勤務地の
中之島近辺には漫画を売ってる本屋がない?!ってなわけで
わざわざ野田阪神のイオンまで行きました(汗)
ま、目当てがベルセルクなら疲れも感じませんよ。

前作からほとんど1年ぶりのような気がしますが、
相変わらず重厚な物語が展開されております。
ざっと一読して、改めて
“この話の展開を読める人はいないだろう”なって
感じるくらい、仰天の展開に驚きでした。w


前回、まさかの二度目の転生を果たしたガニシュカ大帝と
グリフィス率いる鷹の団の戦いがメインの内容ではありますが、
その帰結たるや“まさに想像を絶する”感じだと思いません?
なんたる因果でしょうか・・・。
恐るべしゴッドハンドです。

ちなみにいつもは読破するのに30分くらい余裕でかかる私ですが、
本巻は20分くらいで読み終われます。
ベルセルクにしては珍しく(?)見開きいっぱいの
大きなカットが多くなっています。
(主たる要因はガニシュカのせいかと思いますがw)
ただその分、いつにも増して迫力・スケールの大きな物語が
展開されます。

今後も大いに期待です。
個人的な感触としては、ここまでスケールが大きくなった以上
そろそろ終わりが見えてくる頃かなと思うのですが、
ただ、ここまで来るのに20年かかってますから
締めまではあと10年くらいはかかるでしょうね(苦笑)

【books】ハイドゥナン

最近、ちょくちょく小説を買って読んでおります。
記憶にある限り生まれて初めて、4巻あるような本を購入しましたよ。

藤崎慎吾氏によるSF小説。
「日本沈没」を越えたとか、かなり強烈な宣伝コピーが気になります。
ちなみに“ハイドゥナン”とは南西諸島の伝説にある“南与那国島”の
ことです。

ハイドゥナン

大学生の伊波岳志は、共感覚という特殊な感覚を持っていた。
それは音を聞くと味や色を感じるといった、一度に複数の感覚を同時に
感じるというものであった。
岳志はダイビングをしているときに“誰かの声を聞く”、
という不思議な共感覚に悩まされていた。
一方、与那国島周辺の海域では地殻変動の予兆が発見されており、
科学者たちがその解明に乗り出していた…。

というわけで、さくっと言ってしまえば「日本沈没」的な地殻変動によって
未曾有の危機にさらされた南西諸島、果ては世界を救うという話である。

一見しただけではありふれたような設定だな、と思うかもしれないが、
これがなかなか読み応えのある一作。

「日本沈没」のプレートテクトニクスから一歩進んだ
プルームテクトニクスという理論をはじめとした地質学・地球物理学などの
ネタを背景に海洋学や微生物学、果ては量子コンピュータや海底遺跡、
与那国島に伝わるムヌチという巫女的存在と神との関わりなど
科学から空想、オカルト的(といったら失礼かな?)な要素を
ふんだんに取り入れており、非常に情報量が多く、読んでいて飽きない。

※逆に言うと、このあたりを飲み込めないとまず読めない…。

作者はかつて海洋学を専攻されていたとのことで、
それらのキーワードが巧妙に組み合わされた説得力ある文章は
リアリティを感じさせ、ハードSF的な印象も受ける。

しかしそれでいて、主人公の恋愛(結構な伏線が張られているのだけど)と
いった主軸のストーリーもしっかりしており、
単純な科学小説の枠に収まらない独創的なところがまたいい。

巻末の解説などにも書いてあるが、“日本にはこんな作家がいたのか”と
いうことを改めて考えさせられる作品である。

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しまんちゅ

しまんちゅ

へこみやすい魚座、最近自分は天然かもしれないと思い始めたAB型。
寝ても覚めても映画に埋もれる日々が好きであります。
映画検定はまだまだ3級です。これからも頑張って勉強しようと思います。
その他、たまにロック、小説にふけり、思い立って旅行に行ったり写真など撮ってみたり。

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